燃え輝く太陽に

地球は恋をしておりました



地球は心も体も健康で

恋も純粋だったので

みるみるうちに

美しくなり

海と緑ができました



月は

そんな美しい地球に

恋をしました



そして

地球が太陽にするように

ただひたすら地球の周りを

回り始めました



しかし性根が暗い月は

恋に苦しめられ

地球のように

美しくはなりませんでした



その代わりに

月は夜にだけ

活動するようになり

昼は何もできず

ベッドにいるように

なりました



月は時たま

恋の苦しさから

自らに大きな穴を

開けてしまいます



だから

月の心には

無数の穴が

空いているのです



そんな月ですが

夜になれば

少し元気になって

必ず地球に思いを馳せます



ただ月はひどく

繊細なので

傷つくことを恐れて

地球に

近づくことは

できません



もちろん

触ることも

できません



ただ

想いを馳せる

それだけです



でもその想いは

いつしか光になって

地球の夜を

支えるようになりました



そして

地球は

月の光を

ありがたく

受け取るように

なりました



だからと言って

地球が

月に恋をすることは

絶対にありません



それは地球が

薄情だからとか

月を弄んでいるとか

そういうことではなく

むしろ当たり前で

自然なことのように

思います



繊細な月は

その道理は嫌になるほど

わかってはおりますが

頭と心は違うので

愛されない苦しさで

また一つ自分の体に

穴をあけてしまいます



月は

もうこんなことは

やめようと

何度思ったか

わかりません



でも

夜になると

自分が地球を

照らしているという事実に

自分の価値を見出して

少し元気になり

また

地球に想いを

馳せてしまうのです



月にできるのは

それ以外には

ありません



月はいつまでも

地球の周りを

回り続けます



月の想いが

報われることは

ありません