彼女のこと好きなんだよな

友達がグラビアを見て言った

うん、僕も好きだよ

僕は雑誌を覗き込んで言った



でもよく考えてみれば

僕は彼女の何も知らない



彼女が一体、だれなのか

食べ物は何が好きなのか

どんな映画が好きなのか

僕は彼女の何も知らない
 


ただ唯一

彼女のくびれが素敵に見えることと

目が宇宙人のように大きいことと

きっと宇宙人ではなくて女であるということは
 
予想されている 



リア・ディゾンって変な名前だね

友達は右手で顎を触って言った

確かに変な名前だね

僕は雑誌の表紙に書かれた赤い文字を読んだ


「彗星のように現れたグラビアアイドル  リア・ディゾン」


赤い文字は煮込んだトマトのように

不安定でぐちゃぐちゃで

バジルの香ばしさを僕に届けた


裏に お金の香ばしさ

タバコの甘ったるさ

夢のはかなさを隠して



シアン マゼンタ イエロー


僕は彼女を見ていない

色を見ているだけ

雑誌の上で

欲望という形を持って



社会は魔女製造工場

悲しみの妖気をまとった魔女製造工場


こんな女がいたらなぁ

友達は言った

こんな女はいても仕方がないよ

僕は笑ってそう言った