白い砂の大陸に

真っ黒な川が流れていた

 

雨は音もなく降っていて

二人の男女が泣いていた

 

ただ立ち尽くして

同じ灰色の空を眺めながら

違う色の涙を流して

 

男が流したのは銀色の孤独の涙

女が流したのは薄紫の酸っぱい涙

 

全てが間違いで

全てが真実だった

 

突然 強い横風が吹いた

 

涙は風に乗って川に吸い込まれた

 

何の音も立てずに悲しみが等しくなる

一歩だけ足を踏み出せるかもしれない瞬間

 

川は海に向かって流れているらしい

 

出口に近づくと太陽のにおいがした

いつのまにか涙の存在は忘れ去られていた

 

男女はなぜ泣いていたのか

今となっては誰も

本人達ですらわからない

 

ある夏の日

海の水は空に上がっていって

もくもくと積乱雲を作った

 

そして一筋の雨を降らせた

たぶんどこかで誰かが泣いている

水分はひたすら循環しているから