ポエムベクトル

ポエム・詩を中心に暮らしましょう。

光はいつも差し込んでいる

夜が訪れる時さえ

 

朝になると登り

夕方になると沈む太陽は

本当はまったく動いていない

僕がいつも上がったり

下がったりしているだけで

 

いつも佇む地球の空は

宇宙の色よりも青い

それは科学的な理由もあるが

真実は空は青いものだと僕が思っているからだ

 

僕は僕にとらわれ僕を見失っている

 

だから僕は眠ったときを朝と呼ぼう

にくむべきものとして

そして目覚めたときを夜と呼ぼう

暖かい親しみをこめて

 

僕は先週死んだ

自分で自分に手をかけて

 

痛みはなかった

悲しみもなかった

むしろ何も変わっていない

 

僕は昨日コーヒーを飲んだ

コーヒーは胃で吸収されずに滑り落ちた

 

どうやら体というものは

入れ物にすぎなかったらしい

僕は納得がいった

 

僕は今日も歩くことにした

生きているように死んでいる状態で

失ってしまったのはいつのことだろう

 

でも僕は道に止まって考えた

そもそも、そこには何かあったのだろうか

そもそも、そこには誰かがいたのだろうか

 

もし味方がいなくなったら

それは全て僕のせい

 

自分を曲げられなくて

離れ離れになった道

 

外は孤独の嵐が吹き荒れて

僕はひとりで泣けなくて

 

置いてある綺麗なコップ

壊してみたく 手にとって

壊せなくて 中に入る

 

外は嵐が止まらない

もう当分出たくない

 

のっぺらぼうには顔があります

ただ誰にも見えません

のっぺらぼうは悲しく思いません

 

のっぺらぼうには口があります

ただ笑うことができません

のっぺらぼうは痛みを知りません

 

のっぺらぼうには髭があります

ただ髭は伸びません

のっぺらぼうは朝は寝ています

 

のっぺらぼうには目があります

ただ何も見えません

のっぺらぼうはどこにも行けません

少年は声を出さずに目を閉じた

暗闇の中で星を見るために

しかし見えたのは星ではなく

いじめっこの顔だった

 

少年は自分に質問した

なぜここにいるのだろう

どうして続けるのだろう

どうすればいいのだろう

 

少年は風の中立ち続けた

空が答えを教えてくれる気がしたから

ポケットに手を入れて

何かが振ってくるのを待っていた

 

しかし空では宇宙人が宴会をしていた

何も考えず 歌って 踊って

無礼講

 

少年は空を見上げた

そこでも星は見えなかった

 

唇 

乾燥

 

喉 

枯渇

 

声 

不出

 

空 

清水

 

僕 

放浪

 

ゆるせないくらい透明な空

なりひびくドラム音

足りない眠気に豚の足

ちりを吸い込む掃除機のダクト

首周りにまとわりつくマフラー

リズム変わるファンク

抜け殻があくびする

僕の詩は

僕が作ったわけはない

生まれたときから それはあり

誰かが不意に届けた手紙

 

言葉すら

僕が喋ったわけはない

口から出たのは 寒い息

風が通って 音が生まれた

 

この体

僕が生きてるわけはない

ただ流れるのは 波の音

僕はそれすら聞こえない 

 

白い部屋

丸テーブル 

デスクチェア

花のない花瓶 

 

そして

誰かの自画像を飾って

ソーダ水のような空がある日は

小鳥がさえずる枝がある

しなやかに やわらかい

踊り子のような曲線美と

生野菜のような芯の強さを持ち合わせて

 

バケツをひっくり返したような日は

びしょぬれになった枝がある

悲しげに ひっそりとした

灯台のような孤独と

ひしゃげた陶器のような歪みをぶらさげて

 

台風一家が訪れた日でも

まったく動じない枝がある

まっすぐと まっすぐと

花は咲かなくても

決して折ってはならない枝がある

神様 勇気をください

僕に安定を捨てる勇気を

きっと夢は叶うもの

 

だから 神様

勇気をください

僕に恋人と別れる勇気を

彼女を愛してしまいました

 

そして 神様

勇気をください

いつか死ぬことができる勇気を

 

僕は生きているのです

とても醜く そして されるがままに

木は一本でも偉大だ

胸を張り天に向かって真っすぐ伸びている

 

木はたくさんあればなお偉大だ

森になれば命が廻り神が住む

 

僕は偉大な木から何かを感じた

光のみずみずしさ

深海のような闇

聞き取れない言霊

木から宇宙を理解しようとしたのだ

 

だが想像力とはあまりにちっぽけで

真実にはいつまでも手が届きそうになかった

 

壊れかけのメリーゴーランド

廻り続ける約束

僕は破ってしまった

何もかも失う覚悟で

 

でもその一瞬

とても短いほんの一瞬

頭の中

狭くて汚い小部屋があって

僕を愛してくれる人が立っていた

僕が愛する人と一緒に

 

真っ黒い服を着て

誰かの葬式みたい

泣いてしまいそうな

彼らの悲しい顔

世界の闇とさびれた匂いが忍び寄る

そんな匂いに僕の心臓が警報を鳴らす

 

笑わせたい

笑わせたい

 

呪文は闇を吹き飛ばし光を照らす

その光の暖かさに

今日も僕は生かされている

 

感謝

僕は今を生きている

 

暗闇に見えているランプは

過去でも未来でもなく現在のこころの中に

 

不安と好奇心はいつも隣合わせ

先が見えないから落ち込むんじゃなくて

先が見えないからわくわくしたい

 

完璧を目指せば見える自分の小ささに

もっと単純に生きてみて

 

3割打てば世界一

天下取っても二合半

 

何のために生まれたか

何のために死ぬのか

答えなんて途方もない

 

考えるだけ無駄な事

 

だからそんな難しい事は抜きにしよう

 

僕は今を生きている

 

こころは生き物だ

だが形は決まっていない

みどり色のぐにゃぐにゃした生き物だ

 

こころは空気が必要だ

例えば

歌が歌えるように 涙が流せるように

世界をゆっくり見つめ

大きく息を吸い込む

そして吐き出す

 

そんなリズムは幸せだ

 

例えば

仕事に追われ

お金を数え

セックスに身を委ねる

 

そんなごまかしは息苦しい

 

こころは太陽の下

青々とした大きな木を見つめる少年だ

それは昔の僕に似ていて

ただ夢を見ている

 

今の僕はこころを愛おしく感じている

少しだけ嫉妬しながら

とっても愛おしく感じている

同じように過ごしても

感じることが違う毎日

晴れの日 雨の日 くもりの日

 

平和な町に

男はひとりで佇んで

例えば

転げ落ちる大玉

光が消えるネオン

増えていく手のしわ

その他もろもろのことを

見つけた瞬間

こころに何かがひっかかる

 

しかし

ものは流れ

人も流れ

気持ちも流れ

 

誰も止められない

誰も思い出せないなんて

 

男の胸に悲壮感の墨が落ちる

 

その瞬間を

ひとつの言葉で彩るまでは

その瞬間を

この目で切り取るまでは

 

そんな使命感引っさげ

男はただ一瞬の美しさを

愛そうとする

 

自分の国を作るような征服感を持ち

誰にも通じない

未来への自分にも理解できない言葉を

探すのだ

 

それが芸術ってしたり顔

 

本当は

その瞬間にすでに

こころは流れてしまっていること

男は知らないふりをしている

赤みの挿した頬

少し膨らんだ胸

寄り添う笑顔

まだあどけなさを残しつつ

小さな幸せを握り締める少女

 

誰にも気づかれず

密かな恋をして

息を大きく吸い込み

澄み切った海にもぐりこむ

 

深海で初めて見たのは

夢の国

美しい神秘

 

少女は美しさに惹きつけられ

泳ぎ続けた

息が続く限り どこまでも

 

そして神秘の秘密を解き明かしたとき

水面に上がって

周りを見渡してみる

 

しかしそこには誰もいない

地球の真ん中

 

少女は戻れないほど流されてしまった

時間という波にのまれて

 

少女はひとりの女になってしまった

自分すらわからないうちに

 

砂浜は遥か遠く

方角もわからない

水の砂漠 孤独な世界

 

少女は恋を求めて

もう一度 水にもぐった

 

神秘の世界は

もう見えなかった

 

さようならと

彼が唐突に言った

これからは他人ね

彼女がしっとり答えた

昨日まで抱き合っていた彼ら

急に言葉はとんがった

沈む太陽の淵

スプーンの先っぽに

こぼれる涙と

いつか二人で作ったカレーライス

 

ありがとうと

季節は変わり

二人は記憶の旅に出た

水槽の中

群れて泳ぐ魚の目玉から

笑顔を掬い上げる彼と

肌寒い空の下

鎌倉の大きな煎餅に

ぬくもりを感じる彼女がそこにはいた

 

星が出た熱帯夜

もう一度と

波の音が聞こえる渚で

二人は少し大人になった

二人三脚で漕いだボート

月明かりが差し込む最上階

滝のような花火を見上げ

宇宙みたいな不自由な心で

触れ合う右手 左手

 

なつかしい絆

 

それはじっとできない世界の二人には

我が家のシチューみたいだった

 

昨日と明日

ゆりかごと墓場

自分と命

 

そんな具をたくさん詰め込んで

二人は未来まで走ることにした

 

何度でも手をつないで

僕がまだ幼いころには

女の子の美しさ

おっぱいの柔らかさ

恋心の酸っぱさ

その他もろもろの色鮮やかなものに憧れていた

 

そんなとき たまたま

素晴らしそうな君と出会って

欲しかったおもちゃは全部手に入った

付き合い始めることで

 

だけどある日 

とても幸せな午後に僕は気づいた

何かが欠けている

まるで新しい服が欲しくてたまらないように

僕はそわそわし始めた

 

思えば今やっていることは

あたりまえすぎた

映画館 美術館 動物園 

波乱はなし

綺麗すぎる部屋では居心地が悪かった

 

だから旅に出ることにした

一切合財 全てを投げ捨てて

身軽すぎる格好で

勝手な一歩を踏み出す

 

荷物を持って戸を開けた瞬間

すぐに夕日が部屋の中まで入ってきた

それは紅葉のように切なくて

立っている自分が妙に溶けてしまった

 

結局 次の日

僕は彼女と水墨画展に行った

 

薄すぎるほどの墨の色が

二人とも一番良いと言い

僕たちはそれから夕食を食べた

待ち人は美しい

何かに心 染められているから

 

一人を待っているときは尚更だ

想いを馳せて 夢を見ている

 

何も手につかない

お茶を飲む

そんな時間を

東京で過ごすのは

待ち人くらいだ

 

ゆったり のんびり

待ち人はパリに憧れている

どこか目の前の旅人を馬鹿にしながら

ひとりいっこずつ

配られていた飯

受け取っていた老人

 

ほしがりません 勝つまでは

 

昔の合言葉は流れて

きれいに忘れてしまった

 

僕は今を欲しがってばっかり

君も今はないものをねだり

 

背負いきれない数の愛に

より自分らしい環境

 

僕らは欲張りだ

上を見ているんじゃなくて

道に迷っているから

 

ひとりいっこずつ

先生が決めてくれれば

僕は欲張りになれないのかな

 

神様が僕に教えてくれば

僕はひとりの人をずっと愛せるのかな

 

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